富裕層への税務当局の対応

今回の税理士トピックは、税務調査、特に富裕層にフォーカスした当局の対応をテーマに記載しました。税理士業界でも注目される富裕層への国税当局のアプローチを是非ご参考にしてください。

平成27年7月から平成28年6月までの平成27事務年度(国税では例年7月から事務年度が開始されます。)において、有価証券、不動産などを大口で所有されている方、経常的に所得が高額となる方など、いわゆる「富裕層」に対する所得税調査結果を国税庁が公表しております。

この調査結果によると、資産運用の多様化・国際化が進んでいる背景も念頭に置いて、国税庁は富裕層に対する税務関係の調査を実施していることが窺えます。

パナマ文書問題をはじめ、富裕層による租税回避行為が注目されていますが、やはり当局としても富裕層によるクロスボーダー投資を含めた所得税調査に重点的に取り組んでいると言えるでしょう。税理士の視点からもこの領域は要注意の分野と言えます。

富裕層に対する税務調査結果

下図が富裕層に対する調査状況の概要です。(脚注の参照元国税庁サイトから抜粋)

税理士 税務調査

(画像をクリックすると、拡大表示されます。)

※ 上図のうち、「特別調査・一般調査」という言葉がありますが、これは、高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象にしたものを指します。深度ある調査が実施されるものです。

 

富裕層の申告漏れ等が増加

上表のとおり、平成27年事務年度に国税庁は前年の平成26事務年度に比べて0.4%増の4,377件の実地調査を行っております。そして、国税庁の発表によると、申告漏れ所得金額を516億円として発表しており、この数字は前期比で120億円ほど多くなっています。

非違件数として、3,480件であったと発表されていますが、調査件数の実に約80%もの割合で(前年度比1.9%増)非違行為が見つけられている状況です。

そして、繰り返しになりますが、その申告漏れ所得金額は516億円(同32.3%増)で、加算税を含め120億円が追徴されています。

なお、調査1件当たりの申告漏れ所得金額は1,179万円(同31.9%増)、追徴税額273万円となり、追徴税額は、所得税全体の実地調査1件当たり155万円と比べて約1.8倍にのぼりました。

資産運用の国際化にも注目

近年、資産運用のグローバル化が進展していることから、国税庁では富裕層の国境を越えたクロスボーダー投資等にも注目しているようです。上記期間中にもクロスボーダーによる海外投資を実施していた565件(前年対比26.1%増)に対して税務調査が実施されており、約82%に当たる461件(前年対比27.3%増)から168億円(前年対比60.0%増)の申告漏れ所得金額を把握し、43億円(同72.0%増)を追徴しています。調査1件当たりの申告漏れ所得金額は2,970万円(同27.1%増)となりました。

このように、国税庁は富裕層に対して、国外送金等調書、国外財産調書、租税条約に基づく自動情報交換などの各種情報チャネルを駆使しているようです。

資産運用の多様化・国際化が進んでいることを念頭に置きながら、海外取引・海外資産関連収入の的確な把握、積極的な調査を実施している模様です。

近年の所得税調査の特徴を述べると、富裕層を含め、社会的な波及効果が高く、高額で悪質といえる行為を優先した深度のある税務調査となっていると言えます。

今後も富裕層に対する調査の動向について税理士業界のみならず、一般の注目が集まりそうです。

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参照元:国税庁ホームページ「平成27事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について

(免責事項)
上記の投稿は、平成29年4月時点の情報に基づいて文章を執筆しています。今後の税制改正、発表資料の数字(情報)、関係法令等、税務の取扱い等が変更となる可能性があります。記載の内容・数値等は一切保証されませんので、免責事項を確認して上記記事をお読みください。