税理士専門情報「経営計画」のおさらい

経営計画の概要

経営計画の策定手順については様々な手法がありますが、一つのアプローチ案として経営理念を中心として作成するモデルを下記に説明します。

 

策定の第一歩

税理士による経営計画の策定

経営計画の策定についてはじめに、事業経営の中心的な支柱となる経営理念を作成します。

この経営理念は、自社の企業経営の理念を集約したものであり、内外に掲げられるレ ベルまで十分に練り上げることが重要です。経営理念には経営者自身の思い、起業時、会社設立時に考えていた大きな志を込めて作成することが望まれます。

そしてこの経営理念 を受けて、経営方針を作成します。経営方針の作成においては、企業の外部環境、内部環境を十分に分析、検討しだ上で、3年から5年のスパンとして中期経営計画に落とし込みます。

中期経営計画が完成したらつづいて、中期経営計画をより具体化した1年毎の単年度の経営計画を作成します。

単年度の経営計画においては、数値目標とともに具体的な実行 計画、例えば販売、仕入、人事等に関する個別の計画を策定することが必要となってきます。

経営者自身の考えではどうしても偏ってしまうことも多いと言えます。これを防ぐため、例えば外部の視点 として顧問の税理士公認会計士の意見を聴いてみるのも良いでしょう。

(税理士や公認会計士の中には、中小企業の事業計画や経営革新のサポートを担う経営革新等支援機関に認定されている方もいます。)

経営計画の定義

中期経営計画と単年度の経営計画の違いに留意することが重要です。はじめに、中期経営計画の策定においては、3年後から5年後のなりたい自社像を考えるところから進めるのが良いでしょう。

たとえば、目標の売上高や業界、地域内でのポジションなどを検討し、5年 後には年商1億円の売上の実現、福岡で業界3番手以内に入るなどの計画を作り出すこと が必要です。つまり、この中期経営計画では、3年~5年の比較的長い期間で実現する計画 となります。比較的長い付き合いができている税理士や公認会計士とも協議して計画して いきましょう。

単年度の経営計画

経営理念を基本として経営方針、中期経営計画を具体化する形で来年 1年間何をやるべき かについて単年度の経営計画を作成します。

この単年度の経営計画は、1年間での経営目標と具体的な実行計画で構成されます。ここでは、数字を扱っていくため会計のスキルが求められます。

経営計画のメリット

ビジョンの具現化機能

税理士 会計士による経営相談  経営者自身で経営計画を作ることで、自分での納得感や頭の整理につながるとともに、従業 員や取引先、金融機関と具体的な目標が明文化、定量化されることで共有され、組織的な 取り組みや資金調達が行いやすくなります。特に1年間の具体的な目標が明らかになるの で、従業員のモチベーションのアップにも寄与します。

 

経営営理機能

経営を行っていく上で、将来を正しく予測することは不可能といえます。ただし、経営計画で可能性が高い目標を設定しておけば、経営計画に従って、理想と現実のギヤソプを把握することができます。

また、経営計画を中心として、自社のポジションを把握することができるため、事業経営 にあたりその場当たり的な対応を防ぐことができます。

定期的に訪問する顧問の税理士や公認会計士にも経営管理の役割を担ってもらうことを依頼するのも検討の余地があります。

 

ステークホルダー (利害関係者)への説明

銀行などの金融機関から融資を受ける場合にも経営計画の策定は多数のメリットがもたらされます。具体的な経営計画を提示することで、金融機関も納得しやすくなります。また補助金の申請にも経営計画を利用できます。

>>経営計画の策定(後編)へ

 

執筆・編集:宮川公認会計士・税理士事務所

 

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