役員報酬・役員退職金の決定(参考情報)

役員給与は慎重な検討が必要

取締役等の役員の給与については、税法の様々な規制があります。例えば、同族会社の場合には、利益が多少多く出たからといって、取締役の報酬をむやみに高額に設定することはできません。取締役の報酬、退職金等の決定にあたっては、税理士と十分に協議をしていくことが求められます。

 

役員給与・退職金決定について

役員給与の決定においては、法人税法34条2項に不相当に高額な部分の金額を損金の額に算入しないことが規定されています。

ここで、不相当に高額であると判断する基準が重要となりますが、なにをもって不相当に高額とするのか、明確に判定するための基準の策定は困難であるため、実務上も判断に迷う部分と言えます。東京地裁の平成28年4月22日判決においては、憲法84条との関係や類似法人選定に係る納税者側の予見性等を含めて、様々な論点が提起されていますが、類似法人の支給額の最高額を比準すべき旨の判例が示されており、役員給与の決定において一つの手がかりとして参考になります。

さらに、法人税法施行令70条1号イにおいては、役員給与の適正額について、役員の職務内容、法人の収益状況、使用人の給与状況、同種の事業を営む法人の支給状況を勘案するといった趣旨の規定がなされています。このうち、問題となる同種事業の法人の支給状況については、地域的類似性、規模的類似性の他、類似法人の役員給与額の水準がいくらになるかが問題となります。

次に役員退職金についても、上記の役員報酬と同様に検討を要すべき内容が多々あります。類似法人の支給額の最高額を参考とすべきとする考え方もあり、その他の事例も含めて、退職金の決定には慎重を要することが求められます。

以上のように、役員報酬、役員退職金の適正額の算定における実務上の課題も多々あります。様々な裁判の判例の中身は実務上の参考となる考え方が数多く提起されており、意義のある事例も見つかります。上述の事例を参考として、憲法84条との関係を含めて、法人税法や関連法規の具体的な内容を今後検討していくことが求められます。

役員報酬決定には

上記を踏まえた上で、役員報酬の決定には顧問税理士に相談することが望まれます。税理士によっては、役員報酬のシミュレーションを提供してくれるので、所得税、社会保険料の負担割合など様々なアドバイスと金額を検討してもられるでしょう。

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