学校法人監査の基礎知識

学校法人監査の概要

学校法人会計の特徴

学校法人の会計監査

学校法人の行う事業内容は、主として学生の教育・研究に関する事業であり、原則として非営利で行われています。そのため、利益の獲得を意図した民間の一般事業会社の会計とは異なります。当然ながら一般事業会社の企業会計基準を直接適用することはできません。

企業会計とは異なり、学校法人では予算の作成が義務づけられるとともに、予算に

対比される形で決算を行うことも必要となります。そして、私立学校法によって、貸借対照表、資金収支計算書、消費収支計算書等の作成が義務付けられています。

学校法人会計の対象

学校法人会計基準については、基本的な考え方としてて適用対象の範囲に入る可能性があか検討することが必要です。その中でも、私立学校振興助成法によって経常的経費を補助されている私立学校については、この基準を適用しなければならない義務付けがあります。

学校債の発行

平成18年に金融商品取引法が制定され、同法令における有価証券の定義に一定の学校債も含まれることとなりました。このため、一定の学校債を募集する学校法人等に対しては、金融商品取引法等の関連法令により、厳格な情報開示義務が課されることとなりました。例えば、有価証券届出書等の各種書類の作成義務、関係書類の公衆縦覧の供する必要性、学校法人会計基準に基づく開示書類とは別に、企業会計原則に基づく開示書類の作成等の対応が必要となってくる可能性があります。

学校法人監査の詳細

会計年度

学校法人の会計年度は、4月1日から翌年3月31日までとなっています。
文部科学省への計算書類の提出期限は6月末となっています。

一般原則

学校法人が計算書類を作成するにあたっては、下記の一般原則に基づくことになります。

① 真実性の原則
② 正規の簿記の原則
③ 明瞭性の原則
④ 継続性の原則

細かい説明は割愛いたしますが、企業会計原則にも通じる普遍的な原則として捉えていただいて良いと思います。

収益事業

私立学校法に基づき、私立学校は教育の支障のない限り、その収益を経営に充てるために、収益を目的とする事業を行うことができます。ただし、事業の種類は定められており、経営が投機的に行われるもの、教育に支障のあるものなどはできません。

計算書類

学校法人が作成しなければならない計算書類は下記のとおりです。
・資金収支計算書、資金収支内訳書、人件費支出内訳表
・消費収支計算書、消費収支内訳表
・貸借対照表、固定資産明細表、借入金明細法、基本金明細表
ただし、高等学校の設置するものを除く都道府県知事所轄の学校法人については、基本金明細書を作成しないこともできます。

資金収支計算書

資金収支計算書とは、会計年度の諸活動に対応するすべての収入及び支出の内容を明らかにし、会計年度における支払資金の収入及び支出の顛末を明らかかにする目的で作成されます。

消費収支計算書

消費収入とは、会計年度の帰属収入を計算し、この額から基本金に組み入れる額を控除して計算します。一方、消費支出は、会計年度において消費する資産の取得価額、用役の耐火に基づいて計算します。そして、消費収支計算にあたっては、消費収入と消費支出を対照して行います。
ここで、帰属収入という言葉ですが、すべての収入のうち、学校の負債増加とならない収入のことを指し、例えば、借入金によってえられた収入は除かれることになります。

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<参考ページ>
・ 公益法人会計(専門情報) 公益法人会計に関する専門情報です。