会社設立時の法人名を決めるには
会社設立をする時によく悩むことの一つに新設法人の「会社名」の決め方があります。
会社名は一度つけてしまうとその後の事業展開における、会社、事業のブランドとして大変重要な役割を担います。
当然ながら会社設立時の重要な視点として、会社名、会社ブランドの決定があるのです。したがって、会社名の決定にあたっては十分に時間をとり、慎重に考えることが望まれます。
なお、一定のルールさえ守れば、自由に好きな会社の名前を付けられますが、幾つかの注意点があります。
商号を決める際のルール
① 使用できる文字、使用できない文字があります。
会社設立時の会社名を付ける際に、使用できる文字は次の通りです。
・ ひらがな
・ カタカナ
・ 漢字
・ ローマ字(大文字、及び、小文字)
・ アラビア数字(1、2、3…など)
・ スペース(ローマ字で複数の単語を使う商号の場合に限り、単語を区切る為に使用可。)
・ 下記の符号(ただし、商号の先頭や末尾に付けることはできません。)
「&(アンパサンド)」
「’(アポロストロフィー)」
「,(コンマ)」
「‐(ハイフン)」
「・(中点)」
「.(ピリオド)」
(例外的に、ローマ字の略語を表す意味でのピリオドは、末尾でも使用可。)
ただし符号を使った商号の場合、取引先から代金を銀行振込してもらう際に、振込先の会社名入力で、先方に手間取らせてしまうケースがあるため、注意が必要です。
その他、
「ローマ字と日本文字を組み合わせた商号(例:ABC福岡博多株式会社)」
「数字だけの商号(例:777株式会社)」
も登記可能です。
一方、使用できないのは、「!」「?」「@」などの記号や、ローマ数字(ⅰ、ⅱ、ⅲ…など)です。また、「株式会社」を「K.K.」と略した商号や、「アルファベットと日本文字を併記した商号(例:「ABC Fukuoka Hakata Co.,Ltd. ABC福岡博多株式会社)」も使うことができません。
② 株式会社設立の場合は「株式会社」という文字、合同会社の場合は「合同会社」という文字を必ず入れます。
商号の頭か末尾に、必ず会社の種類を入れます。いわゆる「前株」か「後株」かは、好みなので、言いやすさや見栄えの良さで決めましょう。
(※会社設立時のサービスは、株式会社・合同会社の設立支援サービスをご覧ください。)
③ 会社の一部分を表す言葉は使用できません。
会社の一部分を表す言葉「支店」「支部」「支社」「事業部」などを、商号の一部に用いることはできません。例えば、福岡支店、福岡事業所といった言葉が会社名に入っていると、全体会社の福岡支店という一部分と混同してしまいますね。
④ 特殊な業種のみ使える語句があります。
「銀行」「保険」「農業協同組合」などの言葉は、その事業を行う会社の場合は使用できますが、その事業を行わない会社の場合、そのネーミングを商号にすることはできません。
⑤ 公序良俗に反する語句は使えません。
わいせつな言葉や犯罪に関する言葉は、もちろん使えません。常識ですね。
⑥ 同一住所に、同一の商号は使えません。
同じ住所に、同じ商号の会社を登記することはできません。例えば、福岡市中央区天神○―○ー○と全く同じ住所に同じ会社名の会社を登記できないことになります。実際にはほとんどないかと思いますが、シェアオフィスやバーチャルオフィスを会社住所として登記する場合は、念のため、確認しましょう。(確認方法は後述)
⑦ 有名企業と同じ商号や似た商号は避けましょう。
有名企業は、社名を商標登録している(商品名やロゴを独占的に使用できる権利を特許庁に登録している)ケースが多いため、使用できません。
仮に、知らずに登記した場合、後々、会社名の使用差し止めなどの事態を招きかねないので、避けましょう。
会社名を考える際のポイント
その他、会社設立時に商号を考える際のポイントをまとめました。
① 会社のホームページのアドレスに使えるか。
商号を、会社のホームページのドメインの一部として盛り込みたい場合は、希望するドメインが使えるかどうかを確認しましょう。ドメイン会社のホームページなどで、希望のドメインが使えるか確認してみましょう。
② 覚えやすく、インパクトがあるか。由来をすんなり言えるか。
取引先や顧客に覚えてもらいやすい名前か、また、由来を尋ねられた際、自分がすんなりと説明でき、納得してもらえるような名前かも考えましょう。
③ 商号変更は改めて登記が必要なので、会社設立時に慎重に決めましょう。
商号は、法務局での法人登記の際、定款に記載する内容なので、将来商号を変えようと思った際には、改めて登記をし直さなくてはならず、費用もかかります。
(福岡法務局の情報はこちらのページをご参照ください。)
やむを得ず会社名を変更する場合もあるかと思いますが、起業や会社運営の経費を節約する為にも、商号は、会社設立時にしっかりと考えて決めましょう。
商号の候補が決まったら、類似商号がないかを調べましょう
前述の「⑥同一住所に同一商号は使用できない」、「⑦有名企業と同じ商号は避ける」にも関連しますが、商号の候補が決まったら、「似たような商号を使っている他の会社がないかどうか」をチェックしましょう。
最も手軽な方法は、「商号の候補をインターネットで検索してみる」というやり方です。
また、その他には、
①管轄の法務局に行き、専用端末で調べる。(福岡法務局の情報はこちら)
②インターネットで法務省の関連サイト『登記・供託オンライン申請システム』にアクセスし、『かんたん証明書請求』のコーナーから調べるといった方法があります。
以上が、会社設立時の会社名の決定に関するワンポイント解説となります。これから福岡で会社設立を検討されている方はご参考ください。
会社設立の関連リンク
当税理士事務所では、会社設立の支援、情報発信を行っております。お気軽にご相談ください。
会社設立の基礎知識 :会社設立の基礎知識を解説しています。
会社設立支援サービス :当会計士税理士事務所の会社設立支援サービスです。(ご案内)
合同会社の設立サービス :当会計士税理士事務所の合同会社設立サービスです。(ご案内)
農業法人の設立サービス :農業法人設立を検討されていたら
免責
本記事の内容は投稿時点での会社法、関係する各種法令、会社設立手続きに関する一般的知識に基づき執筆しています。難しい会社設立手続きを容易に理解できるように、文章を平易になるように編集しています。会社設立を行う際は、必ず各専門家に相談するようにお願いします。、宮川公認会計士・税理士事務所との協議により実務実施した場合を除き、本記事の利用によりいかなる損害が発生しても、宮川公認会計士・税理士事務所は一切の責任を負いません。