相続税・贈与税に関する税制改正
相続税対策はお早めに
平成25年度税制改正により、相続税法及び租税特別措置法の一部が改正されました。
これにより、平成27年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について、改正事項が適用されます。
相続税については、遺産に係る基礎控除額が引き下げられ、最高税率の引上げなど税率構造が変更となります。
このうち、基礎控除額の引き下げについて、相続税の計算過程の中で、課税される総額から基礎控除と呼ばれれる金額を差し引いて課税対象となる遺産額を算出しますが、この時、差し引くことができる遺産に係る基礎控除と呼ばれ、今回の改正で40%もの金額が縮小されます。
これにより、相続税の大幅に納税義務者が増加すると予測されています。
例えば、遺族として、配偶者、兄弟2人といった、3人の方が法定相続人であれば、単純計算だと、これまで8,000万円の基礎控除額だったのが、4,800万円に引き下げられます。
そして、その後、課税される遺産額を民法で定められている法定相続分で分割して税率をかけますが、このときの税率も変更になります。これが上記の税率構造の見直しに相当する部分です。例えば、6億円超の法定相続人の取得金額がある場合、いわゆる最高税率が50%から55%に引きあがります。
また、税額控除のうち、未成年者控除や障害者控除の控除額が引き上げられ、小規模宅地等の特例について、特例の適用対象となる宅地等の面積等が変更となります。
贈与税にも要注意
一方、贈与税については、相続時精算課税について、適用対象者の範囲の拡大など適用要件が変更になるとともに、暦年課税について、最高税率の引上げや税率の緩和など税率構造が変更になります。
相続時精算課税とは、いわば相続時に精算することを前提に贈与する方法であり選択年分以降、暦年課税に変更できない、贈与者が亡くなった場合、相続財産の価額に相続時精算課税を適用した贈与財産の価額が加算される点に留意が必要です。
事業承継税制については、適用要件の緩和や手続の簡素化など制度の適用要件等が変更になり、より利用しやすい制度になります。(事業承継への対応も当税制も含めて検討されることが望まれます。)
以上の通り、平成27年1月から相続税、贈与税ともに大きな改正事項が適用されます。相続はいつ起こるかわからない出来事でありますので、税務の専門家である税理士への相談も含めて、事前に余裕をもって準備しておくことが望まれます。
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