事業承継のおさらい

事業承継とは

事業承継 税理士  現在日本全体の人口の高齢化が進んでいる一方、当然ながら中小企業経営者の高齢化もますます進行してきています。

中小企業経営を考える上では、重要な企業経営を担う後継者を確保することが困難になりつつあり、事業承継という場合に相続を巡ってもめ事に発展してしまう可能性も少なくありません。

事業承継を考える企業の中でも、創業後初めて相続、事業承継を経験する中小企業は少なくなく、事業承継問題は中小企業全体としての大きな課題となりつつあります。

また、承継がうまくいかずに解散・清算につながるケースも少なくありません。

そして、中小企業における事業承継においては、企業の後継者が経営実務や経営ノウハウを知らない、お得意様等の販売先や仕入先などの取引関係者や内部の職員から信頼を得られないといった経営リスクが発生する可能性もはらんでいます。

そのような事態にならないためにも、あらかじめ事業承継に向けた対策、対応を十分に検討することが望まれます。

事業承継のためには、自社の事業価値をはじめとした現実の姿を直視し、承継のための仕組みや環境をととのえ、後継者に円滑に経営をバトンタッチすることが重要です。

なお、事業承継については、会社経営全般に係る広範な知識と相続に関する税務知識等も必要になります

 

事業承継の一般的な手順

事業承継のプロセスとして事業承継の一般的な手順としては、次のようなプロセスで実施されます。

  1. 承継価値の把握と分析・課題形成
  2. 事業承継環境の整備計画
  3. 後継者の選定
    (親族内承継、親族外の役員・従業員への承継、所有と経営の分離、第三者への売却)

事業承継

事業承継のプロセス

はじめに、

①の事業価値の把握と分析・課題形成プロセスにおいては、承継すべき人、物的資産、金、知的資産を把握し、事業承継に伴う課題を把握します。

ここで、知的資産とは、組織の持つ人的資産、技術能力、顧客との取引基盤などであり、「目に見えにくい経営資源」と言えます。

中小機構の調査によると、先代経営者から事業を引きついだ時の苦労点として、経営力の発揮や取引先、金融機関との関係の維持、一般従業員の支持や理解などが上位にランクインしており、目に見えない経営資源の大切さがうかがえます。(出典:「事業承継実態調査」(中小企業基盤整備機構・平成23年3月実施)このプロセスのおいては、SWOT分析、3C分析、バリューチェーン分析などを活用して分析することも一案です。

次に、

②事業承継環境の整備として、例えば、株式の分散防止や定款の見直しをしておくことも考えておくことが重要です。

会社設立の当初は、過去の法令等の要請によっていわゆる名義株主が存在しているケースも珍しくありません。(旧商法においては発起人が7人以上必要とされる場合もありました。)また定款において相続人等に対する売渡請求条項があるかどうかもチェックしましょう。

さらに、

③後継者選定については、一般的に親族内承継、親族外承継(自社社員など)、親族外承継(第三者)に分類されます。親族内承継の場合には、極力相続争いを防ぐことを考え、株式の移動を検討することが望まれます。

一方、親族外承継とした場合には、雇われ社長を置くか、第三者とのM&Aとするか、様々な対応を検討することが望まれます。

どちらにせよ、その後の業務運営、経営管理、後継者となる経営陣の能力・スキル、経営権、支配権のあり方を含めて十分に時間をかけて検討する課題と言えます。また、事業承継ガイドラインが公表されていますので、そちらを参照してみるのも良いでしょう。

 

事業承継についての概要(後編)のご案内

上記内容の続きは、下記の事業承継の概要(後編)をご覧ください。

 

執筆・編集:宮川公認会計士・税理士事務所

 

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