監査役監査の基礎

監査役監査とは、株式会社において監査役が取締役の職務執行および会計書類の適正性を監査することを指します。

監査役は株主総会で選任され、その主な職務は業務監査と会計監査の2つに分かれます。

 

(参考)

監査役は、社内・社外、常勤・非常勤で分類される場合もあります。

 

業務監査

業務監査は、取締役の職務執行が法令や定款に従って適切に行われているかを確認する監査です。具体的には、不正行為や法令・定款違反の有無、善管注意義務違反の有無、取締役会の決議内容や内部統制システムの適正性などを監査します。

 

 

会計監査

会計監査は、会社が作成した計算書類(貸借対照表や損益計算書など)が正しく作成されているかを確認する監査です。これにより、株主に対して信頼性のある会計情報が提供されます。

なお、非公開会社では定款により監査役の監査範囲を会計監査に限定することも可能です。

 

監査役の権限

監査役には、会社法により、下記の権限が付与されています。

  1. 取締役の職務の執行の監査(会社法381条1項)
  2. 取締役に対する事業報告請求権、会社業務・財産状況調査権(会社法381条2項)
  3. 子会社調査権(会社法381条3項)
  4. 取締役会への出席義務及び意見陳述義務(会社法383条1項)
  5. 取締役会の招集請求権及び招集権(会社法383条2項、3項)
  6. 取締役の違法行為差止請求権(会社法385条1項)
  7. 取締役と会社間の訴訟代表権(会社法第386条)
  8. 取締役等の責任一部免除に関する議案等の同意権(会社法425条3項1号、426条2項、427条3項)
  9. 被告取締役側への会社の補助参加に対する同意権(会社法849条3項)

 

監査役の責任

監査役は、職務の遂行に際して善管注意義務を負い、違反があれば会社に対して損害賠償責任を負います。

また、悪意や重過失があった場合や監査報告に虚偽記載があった場合には、第三者に対しても損害賠償責任を負います。

 

 

監査役監査と内部監査の違い

監査役監査は法律で設置が義務付けられているのに対し、内部監査は企業内部の監査部門によって自発的に行われます。

内部監査は企業の不正防止や業務効率化を目的とし、最近ではコンサルティング的な役割も担うようになっています。

 

まとめ

監査役監査は、企業の健全な経営を維持するために不可欠な機能であり、業務監査と会計監査の両方を通じて企業活動をチェックし、法令遵守や適正な会計処理を確保します。