税務調査の実態とは?!

今回の税理士業務のトピックは、「税務調査」です。東京税理士会から平成28年度の税務調査アンケート結果が公表されています。このアンケートは東京税理士会で毎年実施されているものです。福岡税理士会によるものではありませんが、この税務調査に関するアンケート結果をもとに、直近の税務調査の動向を把握することができるため参考となります。

税務調査アンケートの概要

上記の税務調査に関するアンケートの具体的な内容は下記の通りです。

有効回答数

1676会員

アンケート内容

  1. 税務調査件数、調査内容及び調査日数
  2. 税務調査結果、重加算税処分
  3. 税務調査官の態度など
  4. 事前通知の実施状況
  5. 無予告調査

アンケート対象期間

平成27年7月~平成28年6月

 

税務調査アンケートの結果

上記のアンケート内容に対する回答結果は下記の通りです。

税目別の調査件数

回答のあった調査件数2204件の税目別の調査件数は下記の通りの件数となっています。

  1. 法人税(消費税を含む)1726件
  2. 所得税(消費税を含む)    268件
  3. 相続税(贈与税を含む)146件
  4. 消費税(単独)  34件
  5. その他の国税 30件

やはり法人税(消費税を含む)が断トツ1位で突出しています。

税務調査の調査内容

  1. 帳簿・証憑  84.5%
  2. 現預金  24.9%
  3. 机・書庫・金庫  9.4%
  4. パソコン等   9.4%

帳簿・証票が大きな割合を占めており、日頃の帳簿、証票の整理・整頓は欠かせません。

調査日数

2,204件中のうち、税務調査の調査日数に関するアンケート結果の回答は下記の通りでした。

  1. 1日で終了したもの   446件 20.7%(前年比1.1ポイント増)
  2. 2日で終了したもの 1069件 49.7%(同0.6ポイント%増)

税務調査の結果

調査結果に関して回答のあった2,089件のうち、それぞれの内訳は下記の通りでした。

  1. 申告是認 530件 25.4%
  2. 修正申告 1,496件 71.6%
  3. 更正 63件 3.0%

上記の修正申告・更正1559件のうち、重加算税と処理されたものは229件で23.2%となっています。

修正申告とは、簡単に言うと調査官の指摘を受け入れ自ら誤りを認めて提出するものです。一方納得せず修正申告を提出しない場合で税務署側から処分されるものを更正と言います。この修正申告と更正で全体のおよそ4分の3を占めていることがわかります。

調査官の態度

  1. 良い 43.9% (前年度42.6%)
  2. 悪い 7.7% (同8.5%)
  3. 普通 48.4%(同48.9%)

意外と思われるかもしれませんが、「良い」と「普通」の回答で全体の9割を超えています。

税務代理権限証書提出でも納税者のみに通知も

上記期間において2157件の税務調査があったと回答があり、このうち「税務代理権限証書を提出しているにもかかわらず納税者のみに通知があった」が117件(5.4%)あったとの結果になっています。

無予告調査

税務調査の通知がなかった無予告調査件数は93件(4.3%)となったそうです。

このうち「臨場後速やかに国税通則法の手続きに則り、納税者の理解と協力を得て調査が行われたもの」が82件(88.2%)となっています。

東京税理士会では、無予告調査は納税者の負担が大きいことから、「正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれがあるとき」または「調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められるとき」以外のケースは避けることを求めています。

(注意)
上記の東京税理士会の税務調査に関するアンケートに関する記事内容は、2017年3月8日現在の情報に基づいて記載されております。今後の税務調査等の税制度、法令、税務の取扱い等により内容が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。(免責事項

 

当税理士事務所にご相談下さい。

近年、税務調査に関する制度も度々変更されています。前回の税理士コラムで「税務調査の加算税措置」をお伝えしていますが、税務調査への対応がこれまでとは違うアプローチとなることもありえます。

税務調査に関することをはじめ、税理士業務のご依頼がございましたら当税理士事務所にお気軽にご相談下さい。

 

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