平成26年度税制改正の概要

税制改正の動向と成長戦略

税制改正のポイント

平成26年の税制改正の特徴としては、次のポイントが挙げられます。

① 例年通りの自民党税制調査会が主導して税制改正の議論がされていますが、首相官邸主導的な色彩も出てきています。

②安倍政権の3本の矢(大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を換気する成長戦略)の一つとして、多くの企業の投資行動を加速化させるという特徴がでている。

③民間投資活性化のために、これに係る税制措置等については平成25年10月に秋の税制改正大綱が決定され、さらに12月に平成26年度税制改正大綱としてまとめられています。

 

具体的な内容として、復興特別法人税の1年前倒し廃止、企業の積極的な投資行動促進のための税制措置、企業の交際費など、消費活性化のための措置、地域経済活性化などが挙げられます。

 

法人税制の改正

法人税の改正

ここからは、法人税、中小企業税制、個人所得税、その他の税法といった分類で説明します。

まず法人税に関して大きな改正ポイントは、復興特別法人税の廃止です。復興特別法人税は、これまで法人の事業年度の所得金額に対する法人税額に10%の税率を乗じた計算した額を申告納付することとされていました。

 

なお、復興と区別法人税額の計算上控除しきれない復興特別所得税額がある場合にはその還付を受けるための申告書の提出も可能でした。

 

指定期間前に設立された法人に復興特別法人税が課税される課税事業年度とは、法人の指定期間(平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間)内に最初に開始する事業年度開始の日から3年を経過する日までの事業年度とされていました。

 

例えば、3月決算の会社を考えると、平成24年4月1日から平成27年3月31日までの期間の3事業年度にわたり復興特別法人税が課税されていましたが、1年前倒しとなり平成26年3月31日決算までとなります。

 

つづいて、交際費等の損金不算入制度の見直しです。現在中小法人に認められている特例、800万円の定額控除限度額制度が延長されるとともに、すべての法人に対して支出交際費等のうち飲食の支出の50%が損金算入されることとなりました。

 

中小法人については、①平成25年度から800万円までの支出額は全額損金算入できていましたが、平成26年度の税制改正ではそれが延長されました。さらにすべての法人について、②交際費等の額のうち、飲食費のために支出する費用50%が損金算入できることになったことから、中小法人においては①と②のどちらか選択適用が認められます。交際費の取り扱いは悩むところが多いのでご注意ください。

 

中小企業税制の改正

中小企業投資促進税制

次に中小企業で使える法人税の改正点です。はじめに、中小企業投資促進税制が拡充、延長されています。具体的には、中小企業が生産性向上に向けた設備投資を実施した場合には、即時償却や税額控除で支援されます。さらに、資本金3000万円までの法人に対しては税額控除割合が通常7%に3%上乗せされて10%になります。

 

適用対象となるのは、すべての機械装置、サーバー、試験測定機器、稼働状況等の情報を収集・分析・指示するソフトウェアですが、ソフトウェア組込み装置は最新モデル、1世代前のモデル、それ以外の装置等は最新モデルという条件があります。

 

ベンチャー企業投資促進税制

つづいて、ベンチャー投資を促進する税制措置が創設されます。事業拡張段階にあるベンチャー企業への投資を促すため、ベンチャーファンドに対して出資する企業が、出資額の8割を限度として損失準備金を積み立て、損金算入できる制度が創設されました。この制度により、ベンチャーファンドへの投資が促進されることが期待されます。

 

そして、所得拡大促進税制の見直し・拡充も実施されます。簡単に説明すると、給与等の支給額を増加させた場合、増加額の10%、中小企業等の場合には20%を税額控除する制度です。前年度までも同類の制度がありましたが、より使いやすくするため、要件を緩和するとともに適用期限が2年間延長されています。

 

その他にも研究開発税制の拡充、事業再編を促進するための税制措置の創設、一定の場合における登録免許税の軽減措置等の改正が行われています。
(投稿 平成26年3月20日)

>>平成26年度税制改正(後編)へ続く

 

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